【リンゴの皮成分フロリジンで痩せる?!】
糖尿病薬のSGLT2阻害は、ダイエットにも効くのか?

りんごの皮 ダイエット
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本記事のポイント

  • SGLT2阻害薬にはダイエット効果もある!
  • しかしSGLT2阻害薬は処方箋がないと手に入らない
  • 同様の効果をもつリンゴ皮成分フロリジンで痩せられる??

血液中のグルコースを尿に排泄することで血糖値の上昇を防ぐ、新しい糖尿病治療薬SGLT2阻害薬ですが、実はその特性上、体重も減るんです。

これを逆手にとって、ダイエットに使えるのでは? と考える方も少なくないと思いますが、残念なことに、SGLT2阻害薬は基本的に糖尿病患者の方にしか処方されないので、気軽に手に入りません。

しかし、実はりんごの皮に多く含まれるフロリジンも、SGLT2阻害作用があるらしいのです!
つまり、りんごを皮ごと食べれば痩せられるのでは…?!

今回はそんな夢のある話を、科学的視点から読み解いていきます!

SGLT2阻害でなぜダイエットになる?

SGLT2阻害薬は、2014年から日本でも使われるようになった、新しい糖尿病治療薬です。糖尿病の患者さんがこの阻害薬を服用すると、糖が尿から排出されることで、インスリンがうまく機能せずに上がってしまっていた血糖値を下げることができます。

ではSGLT2を阻害すると、なぜ尿から糖が排出されるのでしょうか?

SGLT2とは?

食事から小腸で吸収され血液中に取り込まれた糖は、一度腎臓で尿中に溶け出しますが、通常はその後尿細管と言われる管で積極的に血管へと再吸収されることで、尿として排泄されることなく、血中に保持することができています。
その際、腎臓尿細管にて糖の再吸収のおよそ90%を担っているのが、今回の主役であるSGLT2(Sodium Glucose Transporter 2)です。

SGLT2による糖の再吸収

腎臓尿細管の図
Cardiovasc Diabetol. 2015; 14: 142.より抜粋

SGLT2の働きを阻害すると、通常は腎臓尿細管で再吸収されるはずの糖の大部分が再吸収できなくなるので、そのまま尿として外に排泄されるようになるわけです。

Cardiovasc Diabetol. 2015; 14: 142.

SGLT2阻害で痩せるしくみ

以上のようなメカニズムで、SGLT2を阻害すると血糖値は下がるというわけですが、ではなぜ、これがダイエットにつながるのでしょうか?

通常私たちは食事の後に血糖値が急激に上昇しますが、その上昇した血糖値を下げるために、膵臓からインスリンが分泌されます。
そのインスリン刺激によって、血中の糖分は脂肪細胞に積極的に取り込まれることとなり、最終的に脂肪に変換されて蓄積されていきます。
つまりこの血糖値を下げる過程で体脂肪が増加し、結果的に太っていってしまうわけです。

しかしここでSGLT2阻害薬を服用すると、糖が再吸収されずに尿と一緒に排泄されることで血糖値が低下します。その結果、血糖値は急激に上がらなくなるので、インスリンの分泌量が減り、脂肪細胞にて糖→脂肪の変換量が減少し、結果的に体重減少につながるのです!

つまり、SGLT2を阻害すると食べた糖を尿から排泄できるため、食べる量を減らすことなく、最終的な摂取カロリーを抑えることができるということなのです!

SGLT2は糖尿病治療薬のため手に入りづらい

ここまでで、SGLT2阻害薬がダイエットにも効果があることがわかっていただけたかと思います。

しかし残念なことに、実際のところ、SGLT2阻害薬は医師からの処方箋がないと手に入れることができません

さらにはもともとは糖尿病治療薬なので、ダイエット目的では手に入りづらいのです。
(最近はダイエット用に処方するクリニックもある様です)

病院でなんとか処方してもらうのはもちろん一つの手ですが、お金も手間もかかりますよね。

なんとか他の方法でSGLT2を阻害できないか、と調べてみると、どうやらリンゴの皮に多く含まれる成分に、SGLT阻害効果があるというのです!

リンゴの皮に含まれるフロリジンにSGLT阻害効果がある

リンゴの皮に多く含まれるポリフェノールの一種である、フロレチン配糖体類のフロリジンはSGLT阻害作用を持っていることが分かりました。
というのもそもそも、このフロリジンがSGLTを阻害するということがきっかけで、SGLT2阻害薬が開発されたらしいです笑

では皮付きリンゴを食べれば、ダイエットできるのでは?
という希望が湧きますが、実際課題も多い様です。

フロリジンは吸収時に分解される?

実はフロリジンはその分子特性上、小腸で吸収される際にαグルコシダーゼという酵素により大部分が分解されてしまうというのです。
その結果、フロリジンはフロレチンという成分になってしまい、残念ながらSGLT阻害効果を失ってしまします。。

ただしこの問題については、同時にαグルコシダーゼの分解を阻害してしまえば、フロリジンを分解することなく吸収できるかもしれません!
実際αグルコシダーゼの阻害効果がある成分を含んだ食品はオールスパイス、ギムネマなど、結構存在しており、機能性食品としても登録されている信頼性の高いものですので、皮付きリンゴと、これらの食品を一緒に摂取することで効果が上がるかもしれませんね!

皮付きリンゴでダイエット効果あり?

皮付きリンゴ(SGLT阻害)と、オールスパイス(αグルコシダーゼ阻害)などの併用摂取は興味深いですが、今のところその効果を確かめた研究は無いようです。

しかし、そもそも皮付きリンゴのみの摂取でもダイエット効果があるかも、ということを示す研究結果がありました。
Curr Ther Res Clin Exp. 2020; 93: 100597

実験内容としては、食事前に327gの皮むきリンゴを食べた群(皮むきリンゴ群)、皮むきリンゴとSGLT2阻害薬を食べた群(SGLT2群)、皮つきリンゴを食べた群(皮リンゴ群)に分け、食事摂取前後の血糖値の推移を計測した、というものです。
その結果、皮むきリンゴ群では血糖値は急激に上昇したのに比べ、SGLT2群と皮リンゴ群ではその上昇率が抑えられ、さらに尿への糖の排泄もそれぞれ認められたと報告しています。


それぞれの血糖値の推移(グラフ)と、尿中の糖の有無(写真)
黒:皮むきリンゴ群、:SGLT2群、:皮リンゴ群
Curr Ther Res Clin Exp. 2020; 93: 100597より抜粋

つまり、皮付きリンゴだけでも、SGLT2阻害剤ほどでは無いですが、食事後の血糖値の上昇を、尿中に糖を排出することで抑えられた、ということですね!
実験につかったリンゴは327gで、これは大玉リンゴ1個分くらいの重さですので、現実的に摂取可能な量です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
皮付きリンゴはSGLT2阻害剤と同様の作用をもち、ダイエット効果が期待できる可能性が高いことがわかっていただけたかとおもいます。
朝に大玉リンゴ一個分、皮ごと食べる習慣をつければ、太りにくくなるかもしれませんよ
気になった方はぜひお試しを!

ただし、リンゴ皮のフロリジンは、腸において糖を吸収する働きをもつSGLT1の働きも阻害するということなので、お腹が緩くなる可能性も考えられます。
チャレンジは自己責任でよろしくお願いします!

参考文献
Cardiovasc Diabetol. 2015; 14: 142.
Curr Ther Res Clin Exp. 2020; 93: 100597
臨床薬理 「新たな作用機序の糖尿病治療薬としてのSGLT2阻害薬」

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