ポイント
- 大豆イソフラボンとは異なる
- 体重減少効果については確からしい
- 褐色脂肪細胞でのエネルギー消費を促す
食事量は減らしたくないけど、痩せたい。
そんな悩みを簡単に解決する手段の一つとして、ダイエットサプリメントを摂取している方は多いですよね。
数あるダイエットサプリメントを選んでいると、「葛の花イソフラボン」を含有したサプリメントを目にしたことはありませんか?
でも実際に、葛の花イソフラボンとはなんなのか、ご存知でしょうか?
ここでは、
- 大豆イソフラボンとはどう違うのか?
- 本当にダイエット効果が期待できるのか?
などの疑問について、サクッとお答えしていきます!
葛の花イソフラボンと大豆イソフラボンとの違い
イソフラボンといえば大豆イソフラボンが女性ホルモン様作用があることで有名ですが、葛の花イソフラボンとは大豆イソフラボンとどう違うのでしょうか?
大豆イソフラボンとは構造が異なる
実は同じイソフラボンでも、大豆イソフラボンと葛の花イソフラボンはその構造面から結構違うらしいのです。
大豆イソフラボンはイソフラボンの中でも、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインという種類のイソフラボンを含んでいるらしく、これは女性ホルモンのエストロゲンに近い構造をしていることから、女性ホルモンの作用を助け、更年期障害などを軽減すると言われています。
葛の花イソフラボンは更年期障害に効果なし
一方で、葛の花イソフラボンはテクトリゲニンというイソフラボンの一種を含んでおり、これは女性ホルモンのエストロゲンとは構造が似ておらず、女性ホルモンの作用を助けることはないそうです。
つまり、葛の花イソフラボンをいくら摂取しても、更年期障害などの軽減には繋がらないということになります。
その反面、葛の花イソフラボンにはダイエット効果がある、ということで、ダイエットサプリメントとして売られているのですが、その効果は確かなのでしょうか?
以下でその根拠となる研究を踏まえて解説していきます。
葛の花イソフラボンにより脂肪面積が減少する
まず結論からいうと、葛の花イソフラボンの摂取によるダイエット効果はあるようです。
ヒトに葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)を1日当たり11.0 mg~124.8 mg摂取させると、体重および腹部総脂肪面積が統計学的に低下することが、実際にいくつかの研究論文で発表されています。また、それらの論文の結果をまとめて効果があるか調べたメタアナリシスでも、葛の花由来イソフラボンを摂取すると、体重および腹部総脂肪面積が低下することが証明されているようです。
1)薬理と治療, 2013, 41, (2), 167 – 182
2)Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry,2012,76 (8),1511-1517
3)機能性食品と薬理栄養, 2012,7(3), 233-249
4)Journal of Health Science,2011, 57(6), 521-531
しかしよくみていただくと、8週間の摂取で体重変化(BMI)、脂肪面積ともに、比較対象群と比べて僅か2~3%の減少、ですから、そこまで絶大な効果が得られるわけではないですね。
ダイエットもサプリに頼るのであれば、地道に続けるしかない様です。
この様に、劇的な効果は持ち合わせているわけではないので、過大広告には騙されない様にしなければなりませんね。
実際、2017年11月7日に、消費者庁が葛の花由来イソフラボンサプリを「痩せる」と明記し販売していた16社に対し、景品表示法違反として措置命令を出したという事例もあります。よくご自身でその効能を理解した上で購入しましょう。
葛の花イソフラボンは体にどう機能して痩せる?
ここまでで、葛の花イソフラボンが脂肪の減少に効果があることは示されていることがわかりました。では、どの様に機能することで脂肪減少につながっているのでしょうか。
痩せる基本原則
そもそも痩せるには、消費カロリーが摂取カロリーを上回らなければなりません。
消費カロリーには、生命を維持するための活動に使われるものや、体を動かすために使われるもの、などさまざまですが、大きくエネルギーを使う活動の一つに体温維持があります。
特に寒い場所では、常に発熱を促し、体温が低下しない様にエネルギーを割かなくてはならず、その際には多くのエネルギーを必要とします。
そんな時に体の中で発熱を担う器官の一つが脂肪組織です。
脂肪細胞には二種類ある
脂肪細胞には、脂肪を蓄える白色脂肪細胞と、熱生産を行う褐色脂肪細胞があるのです!
実は、この褐色脂肪細胞でのエネルギー消費を増加させてくれるのが、葛の花イソフラボンだというのです。
葛の花イソフラボンは褐色脂肪細胞で熱産生系遺伝子発現を増加させる
マウスに高脂肪食と葛の花由来イソフラボンを混ぜた餌を14日間与えたところ、高脂肪食だけのグループに比べて葛の花イソフラボン摂取群は、褐色脂肪での熱産生系遺伝子(UCP1)発現が増加するという結果が発表されていました。
5)Evid Based Complement Alternat Med., 2012, 272710, 2012.
この熱産生系遺伝子(UCP1)が、褐色脂肪細胞でエネルギーを消費して脂肪酸から熱を産生するという仕組みの様です。
6)化学と生物, 2012, 50(1), 23-29
まとめ
葛の花サプリメントを飲むと、体重および腹部の脂肪量が減少することがいくつかの臨床試験で発表されています。
葛の花は熱産生を促進することで体重および脂肪量の減少につながるのではと考えられており、これまでの食習慣や生活習慣を変えてのダイエットが難しい場合、葛の花サプリメントは一つの選択肢になるんじゃないでしょうか。
ただし、劇的な効果が短期間で得られるということはまずありませんので、あくまで補助食品として摂取することをお勧めします。
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