昆布成分で脂肪燃焼?「フコキサンチン」のダイエット効果とは?

ダイエット
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ポイント

  • 昆布などに多く含まれる色素フコキサンチン
  • 褐色脂肪細胞は脂肪を熱に変える
  • フコキサンチンにより白色脂肪細胞が褐色脂肪化?

エネルギーを消費する脂肪組織があることは、以前葛の花イソフラボンの記事で触れましたが、そのエネルギー消費を促す褐色脂肪細胞を増やしてくれる可能性がある成分が、昆布等に多く含まれるカロテノイド色素のフコキサンチンです。

今回はこのフコキサンチンのダイエット効果について、調べてみました。

フコキサンチンとは?

フコキサンチンはコンブに限らず、褐藻類のワカメ、ヒジキ、モズクなどに多く含まれるカロテノイド色素で、鮮やかなオレンジ色を呈してます。この注目のフコキサンチンの生理機能には、抗肥満作用、抗酸化作用、発がん抑制作用、抗炎症作用などが報告されています。

今回はその中でも抗肥満作用について、根拠となる論文を踏まえながら解説していきます。

脂肪細胞には脂肪を熱に変える褐色脂肪細胞がある

まず前提知識として、脂肪細胞には余剰エネルギーを貯める白色細胞と、熱を産生しエネルギーを消費する褐色細胞があります。褐色脂肪細胞では、細胞内の中性脂肪や取り込まれた血中の脂肪酸が酸化分解され、ミトコンドリア脱共役たんぱく質(UCP-1)によって熱に変換されます。

これまで褐色脂肪細胞は、新生児の腋下、頸部、肩、腎臓周囲などに存在するが、成長とともに細胞数が減少し、成人になるとその痕跡だけになってしまうと考えられてきました。しかし驚くべきことに、白色脂肪細胞はある種の刺激により褐色脂肪細胞化(ベージュ脂肪細胞、UCP-1が高発現する)して、糖・脂質代謝を促進させエネルギー消費を増大させることが分かってきました。その刺激とは、寒冷刺激、運動、そして、ある種の食品成分です。

フコキサンチン-医学のあゆみより

食品成分には、唐辛子に含まれるカプシノエイト類、そして今回着目の成分「フコキサンチン」が報告されているのです。1,2)

1)生物工学, 2012, 第90巻,740
2)薬学雑誌,2019,139,861–866

フコキサンチンで褐色脂肪細胞が増える?

フコキサンチンが、余剰エネルギーを貯める白色脂肪細胞をエネルギーを消費する褐色脂肪細胞様のベージュ細胞に変化させることを示唆したデータについて詳しくみてみましょう。

フコキサンチンを含む餌を摂取した糖尿病肥満マウスは、体重と白色脂肪組織の増加がプラセボ群に比べて抑制されていました。また、褐色脂肪細胞のマーカーと考えられているUCP-1の発現が白色脂肪細胞で増加していました。

フコキサンチン投与UPC1レベル

3) オレオサイエンス、2012,12,23-28 より引用

つまり、フコキサンチンはエネルギー貯蔵型の白色脂肪組織を、エネルギー消費型の褐色脂肪細胞様の細胞に変化させていることが考えられるのです!

ちなみに、高濃度のフコキサンチンを混ぜた飼料を食べさせたマウスの脂肪細胞がオレンジ色に染まった写真がNHKのHPに掲載されています!これは、褐色細胞が増えたこととも関係しているかもしれませんが、フコキサンチンは脂溶性のオレンジ色の色素なので、脂肪組織に色素が沈着したのではないかと考えられています。

以上のデータはマウスを用いたモデル実験における結果ですが、果たしてフコキサンチンはヒトでも効果があるのでしょうか?

フコキサンチンのヒトへの効果は?

結論としては、ヒトでもいくつか臨床試験で効果が確認されています。フコキサンチン(2.4mg/日)を3か月間ヒトに摂取させた実験で、体重は1か月の摂取ですでにフコキサンチン摂取群において低下し、さらにフコキサンチン濃度が高い方がより体重が減少しました。また、内臓脂肪と皮下脂肪も同様に減少していたというのです 4)。
4)薬理と治療, 2015, 43, 1317-1322
フコキサンチン人への効果

 

ロシア人の肥満女性群においても、フコキサンチン(2.4㎎/日)の16週間の摂取で、有意な体重の減少、ウエスト周囲径の減少と安静時のエネルギー消費量の増加が認められています(※ザクロ種子油との併用)。5)

5)Diabetes Obes Metab 2010,12,72-81.

ちなみにこのフコキサンチン2.4mgというのは、乾燥昆布約4gに含まれる量ですので、おしゃぶり昆布一袋のわずか1/3の量です。思ったより簡単に摂取できますね!

まとめ

昆布などに含まれるカロテノイド色素フコキサンチンが、脂肪蓄積型の白色脂肪細胞からエネルギー燃焼型の脂肪細胞に変化させる機能をもっている可能性について、わかっていただけたかと思います。

以前取り上げた、葛の花イソフラボンも、UCP-1の発現量増加という、同様の効果が示唆されています(葛の花イソフラボンについてはこちら)。そのためもしかすると、フコキサンチンと葛の花イソフラボンを同時に摂取することで、より一層のダイエット効果が得られるのかもしれませんね。

ただ、現状まだこれらの成分についての研究成果はそこまで多くなく、さらに安全性についてもきちんと調べられる必要があるかと思いますので、摂取は自己判断でお願いします。

運動でも褐色脂肪細胞は増えるみたいなので、適度な運動もお忘れなく!

参考資料 : 褐藻由来フコキサンチンの抗肥満・抗糖尿病効果とその機序

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