「レスベラトロールは体に良い」が嘘な理由

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ポイント
・レスベラトロールが細胞にダメージを与える
・細胞がダメージを認知する
・細胞はダメージを修復するためにサーチュインを活性化する
・結果的にレスベラトロールはサーチュインを活性化する

皆さんは、レスベラトロールについてどれくらい知っているでしょうか?
サーチュインを活性化するから」ということで、なんとなく「体に良い成分」だと思っていませんか?
確かに、サーチュインが活性化されることは体にとって良いことです。
では、なぜレスベラトロールを摂取するとサーチュインが活性化するか説明できますか?

実は最近、レスベラトロールについて興味深い論文が書かれました。
その論文によると、「レスベラトロールは細胞にダメージを与える」らしいのです。
細胞がダメージを受けるということは、正常な細胞ではなくなるので、体に良い状態とは言えません。
どういうことでしょうか?レスベラトロールは体に良い成分のはずじゃないのでしょうか?
そこで本記事では、「レスベラトロールがサーチュインを活性化する仕組み」を、この動画↓

FISETIN Benefits vs Resveratrol | Powerful Age Reversal 2020

を参考に解説します。

サーチュインはDNAを修復する

レスベラトロールがサーチュインを活性化するということは、上記の通り事実です。(参考はこちら
では、サーチュインが活性化するとどうなるのでしょうか?

様々な働きを持っていますが、今回は、ダメージを受けたDNAを修復する働きについて注目します。

遺伝情報が刻まれているDNAは、紫外線などによってダメージを受けてしまいます。

ダメージを受けたDNAがそのまま複製されてしまうと、異常な細胞が増えてしまうため、体にとって悪い状態になってしまいます。

そこで、ダメージを受けたDNAを修復する必要があります。

サーチュインはこの役割を担います。

つまり、レスベラトロールによってサーチュインが活性化されると、DNA修復が行われるため、体にとって良い状態になるという事です。

過剰なサーチュインの活性化は悪影響を及ぼす

こうしてみると、「じゃあ、レスベラトロールは体に良いんだから摂取しまくればいいのでは?」と思う方もいると思います。

しかし、どうやらそれは違うみたいです。

厳密に言うと、サーチュインを活性化しすぎるという状態が体に悪いらしいです。

ハエを用いた実験で、このことが証明されました。
参考はこちら
遺伝子組み換えにより、通常の45倍のサーチュインを発現するハエ(過剰に活性化)と、2~11倍のサーチュインを発現するハエ(適度に活性化)を作製しました。

すると、サーチュインを過剰に発現したハエの寿命は短くなりましたが、適度に活性化したハエの寿命は延びるという結果になりました。

つまり、寿命を延ばすにはサーチュインの適度な活性化が重要ということになります。

レスベラトロールはサーチュインを活性化するので、レスベラトロールを過剰に摂取すればサーチュインも過剰に活性化される可能性があります。

なので、レスベラトロールを摂取すればするほど体に良いとは言えないのです。

従って、レスベラトロールを摂取する際は、そのがポイントとなります。

レスベラトロールは細胞にダメージを与える

さて、レスベラトロールは適度な量を摂取することがポイントであると述べましたが、もう一つ踏み込んでみましょう。

レスベラトロールの分子構造のうち、どの部分が特に重要なのでしょうか?

レスベラトロールの機能をより詳細に知ることが出来れば、レスベラトロールについての理解が深まり、食品成分としての安全性にもつながります。

ここで、レスベラトロールの作用についてゲノムワイドに解析した論文を紹介します。
Genome-Wide Screens Reveal that Resveratrol Induces Replicative Stress in Human Cells: Molecular Cell

この論文によると、驚くべきことが分かりました。

レスベラトロールの分子構造が、細胞にダメージを与えることで知られているヒドロキシカルバミド(HU)の分子構造と似ていたのです。

分子構造が似ているということは、同じような働きを持つという事を意味します。

つまり、レスベラトロールが細胞にダメージを与える可能性が高いという事が示されたのです。

この分野の研究の第一人者である、チャールズ・ブレナー博士は自身のTwitterで以下のように述べています。

https://twitter.com/CharlesMBrenner/status/1312545720587612162

一部日本語訳
“レスベラトロールとプテロスチルベンは、SIRT1とは独立した経路でヌクレオチド合成を抑制することにより、複製ストレスを誘発します。”

どうやら、レスベラトロールは細胞にダメージを与えてしまうものらしいです。

細胞へのダメージがサーチュインを活性化させる

これまでに述べたとおり、細胞がダメージを受けることは、体にとって悪い状態です。

レスベラトロールは、細胞にダメージを与える訳ですから、体にとって悪い成分なのでしょうか?

ここで思い出して欲しいのが、「レスベラトロールによってサーチュインが活性化されると、DNA修復が行われる」ということです。

これらのことから、ある仮説がたてられました。

①レスベラトロールが細胞にダメージを与える
②細胞がダメージを認知する
③細胞がダメージを修復するためにサーチュインを活性化する
④結果的にレスベラトロールが、サーチュインを活性化するようにみえる

この仮説が正しいとすると、レスベラトロールは直接サーチュインを活性化する訳ではなく、細胞にダメージを与えることで間接的にサーチュインを活性化するということになります。

もし、細胞にダメージを与えても、細胞がサーチュインを活性化しなかったらダメージが蓄積してしまいます。

そのため、細胞にダメージを与えるレスベラトロールは、完全に体に良いとは言えなくなってしまうのです。

まとめ

いかがでしたか?レスベラトロールがサーチュインを活性化する仕組みについて、おわかりいただけたでしょうか?

・レスベラトロールが細胞にダメージを与える
・細胞がダメージを認知する
・細胞はダメージを修復するために、サーチュインを活性化する
・結果的に、レスベラトロールはサーチュインを活性化する

冒頭でも述べたとおり、「サーチュインを活性化するから」という理由で、レスベラトロールを過剰に摂取することは、逆に細胞へのダメージを増やしてしまう可能性があります。

さらに、低容量のレスベラトロールでも、場合によっては有害になる可能性もあります。

これらのことから、レスベラトロールはまだまだ研究が必須になるので、今後の動向に注目していきましょう。

レスベラトロールに限ったことではありませんが、「なんでこの成分は体に良いんだろう?」と疑問を持つことは大事なことです。
論文などを参考にして、常に正しい情報をチェックすることが、健康を考える上で一番重要なことかもしれませんね。

より詳しい解説を知りたい方は下の動画も是非チェックしてみてください!

Resveratrol induces replicative stress…what does this mean?

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